2日目、いよいよ八甲田に。
シーズン中のロープウェイは、1時間待ちとかで、青森8時始発のバスだと、到着は9時過ぎてしまう。まよったが、タクシーならば、1万円弱というので、タクシーでいくことに。
ロープウェイの始発はハイシーズンは8時半だそうなので、不味いホテルの朝食を食ってホテルを7時に出る。
ロープウェイの駅まで1時間ほどかかるということだが、早朝のためか、40分ほどで到着。料金7000円程度である。
ただ、ロープウェイには誰もいない。1時間待ちとかは、土日だけなんだろうか。シーズン末期だということなのか。
結局、8時半始発のロープウェイは、乗客がいっぱいということにはならず、余裕たっぷりである。
今日の天気予報は、曇りのち雨とかだったが、出発時間には晴れ間もでる。ついているみたい。
ロープウェイから見る八甲田の山麓の紅葉は素晴らしい。遠くに、陸奥湾も見える。何とも、美しい眺めだ。よほど、私の行いがいいということみたい。
ウキウキ、紅葉を堪能つつ、無事山頂駅へ。でも、上に来てみると、それなりに、雲が出てきて、風も強い。
すると、係から、このあと、風でロープウェイが運転中止になる恐れありとのアナウンス。きっと、午後はもっと風が強まる、とか話しているみたい。
当初計画の第1案では、下毛無岱までいって、ロープウェイに引き返すつもりだったが、体調次第で酸ヶ湯におりる手もあると思っていたので、そうするかと考える。
でも、風にあおられて、寒いので、雨具の上下を着込んで、装備を整え、出発。
頂上の茂萢湿原の散策道を廻って、上毛無岱へむかう。湿原まではグループが少しいたが、上毛無岱方向に行くのは、先行する1組だけ、寂しいもんである。
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天気はもっている。それなりのトレッキングコースをゆるゆる高齢者ペースで進む。順調。周りをカメラで撮る余裕もある。ところが、上毛無岱まで3/4ほどきた坂道で、滑ってころび、思わず笹に捕まった左人差し指が、1.5センチくらい見事に切れて、血が噴き出す。
慌ててエマージェンシーの袋をさがし、マキロンと バンドエイドで手当てするも、血が止まらない。紙テープがあったはずと見つけ出し、グルグル巻きにして、止血する。
でも、リュックや、雨具が血だらけに。気持ちが折れて、これは引き返そうと、奥さんに云う。ロープウェイにむかって登りかえしていると、途中で、ご老人にであう。
ご老人、ロープウェイにいくの?、動いてるかなぁと、不気味なことをおっしゃる。
まずいので高齢者の能力いっぱいつかってロープウェイを目指す。ようやく、平らな地点にたどりつき、あともう少しというところで、只今運休中という掲示を発見。おおいに脱力。
でも、もう選択肢はない。コースタイム2時間半という、毛無岱経由、酢が湯ルートにまた戻るしかないと決意。ノロノロ、上毛無岱へのコースを戻る。左腕をなるべく肩の上にあげ、湿原を過ぎるまで使わない予定のトレッキングポール(湿原は使用を控えるとの要請あり)を出して、補助にする。
でも、最初から、ポールを使っていればよかった。随分楽だし、安定していて、おそらく、転ばないですんだ。
もう、足で降るしかないので、覚悟を決めて、写真もパチパチ。風に乗って、雲が流れる不安定な景色だが、晴れ間もある。有難いことに、出血は大丈夫そうだ。
事故現場も無事通過、なんとか上毛無岱の湿原に到着。草紅葉はもう終わり近くだが、風に吹かれた、薄曇りの湿原は、なかなかいい感じ。そして、誰もいない。
結局、毛無岱で出会ったのは酢が湯からあがってきたらしい3、4組だけだった。
事前のウェブ情報では、ハイシーズンの木道は渋滞、展望広場は大混雑で入れないということだったが、いつの話なんだろう。でも、ロープウェイも運転中止なので、こんなもんかもしれない。
なんとか天気はもってるし、曇り空の湿原は厳しめの情感が漂っていて、それはそれで、なかなかである。
上毛無岱の展望広場にて、ジェルとアーモンドチョコで、エネ補給。すぐに、下毛無岱にむかう。
しばらくすると、例の、長い下り階段が登場。トレッキングの気分が盛り上がるも、先はまだまだということだ。
かなり急という下りの登山道がまっているはずと、どんどんさきを急ぐ。ポールを使っているせいか、予想ほどの困難さはなく、これなら、西穂の初心者コースの方がよほどテーへんと思う。
奥さんも、がんばっている。偉いぞ。
山道をくだると、紅葉も綺麗。ここでも、パチリ。日も照ってくる。快調。
酢が湯の近くまで来るとかなり坂がきつくなるが、まあ、大丈夫。12時半には無事、酢が湯に到着。コースタイム、2時間半どおりだった。奥さん、大健闘でございます。
ただ、指負傷の身なので、本来はお楽しみの酢が湯千人風呂は断念。明日の奥入瀬行のためにも、名物らしい蕎麦(うまくなさそうではあるが)もあきらめて、ここは、早いとこ青森に戻り、外科にいって、指を縫ってもらおうと、客待ちしていたタクシーに乗り込む。
運転手さんに、駅近の外科に連れていってもらう。(酢が湯から8000円はかからなかった。)
老人患者多数の田村医院というところに入り、手を見せると、ここは、ほんとの外科じゃないので(看板には外科も書いてあったが)できるかどうか、看護師に見てもらうとのこと。
応急処置の傷を見せる。血は一応止まっているし、専門家の観点からは、傷も浅そうということで、先生に診療してもらえることに。
先生、外科なら縫うかもしれんけど、テープで処置で良さそうだから、とイソジンいっぱい塗って、治療してくれる。化膿止め3日分処方で、心配だったら外科にいってね、1週間くらいで、テープは外せるはずとのこと。ひとまず安心。明日の奥入瀬も大丈夫そうである。
青森駅に戻り、ベンチで身なりを整えながら、小休止。その後、タクシーで、かねて予約の夕飯どころ、「鮨処 すずめ」にむかうこととした。
高齢者夫婦としては、なかなの大冒険だったなぁ。