大々大好きなリヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」にいく。楽だったようだ。
ジョナサン・ミラーの演出で、3回目ということになるみたい。
今回の公演は、新国立の「ばらの騎士」として、充分、水準をクリアという、安定感のあるものだった。
指揮のシュテファン・ショルテスも、なかなか、細かなニュアンスをだしていて、ベテランらしい指揮ぶりで、好感が持てる。
アンネ・シュヴァーネヴィルムスの元帥夫人も、立ち姿が美しく、かなり成熟した女性としての元帥夫人になりきっていて、声も充分という感じ。
オクタヴィアンのステファニー・アタナソフも、なかなかの美少年ぶりで、見映えがするし、声もまあまあ、不足はない。
(奥さんは、前回のオクタヴィアンのほうが、声もいいし、かっこよかったとおっしゃていた。わたしゃ立ち姿見てるだけで、納得でしたが)。
ゾフィーのアンケ・ブリーゲル、3人の女性陣の中で、少し、落ちるかも。ゾフィーとしては、若さが、もう少し欲しいし、声も、ちょっと硬い感じ。
オックス男爵のユルゲン・リン、なかなか、オックスぽっくて、上手。ただ、落ちぶれても、貴族っていうタイプではないかな。それは、なかなか、むずいもので、充分です。
ファーニナルのクレメンス・ウンターライナー、立派。りっぱすぎなくらい。
テノール歌手の水口 聡さん、立派な声だけど、かため。
ヴァルツァッキの大野 光彦【6月4日】なかなか、偽紳士風でいい。
アンニーナの加納 悦子も、それなり。
というところでした。
ジョナサン・ミラーの演出、いつもどおりリアリスティックで、きめ細かな、演劇風。いちいち、ニュアンスのある動作がつづいて、あらためて、感心してしまった。
幕間で、ベテラン風のご夫婦が、アイデアがないのよね、と云っているのを漏れ聞いて、なるほど、高踏派になると、そういう評価か、と納得。
でも、わたしゃ、大衆路線なので、特に、「ばらの騎士」については、こねくったやつは、ごめんです。ジョナサン・ミラーで、十分以上というところ。
あと、オックスと、女声陣3人が、等身大でリアルなので、このオペラが「オックス」と名づけられたかも、という、いきさつが、理解できる気がしました。
元帥夫人の嘆きが、少し、無理やりなのも、オクタヴィアンやゾフィーが、幼すぎて、こまったちゃんなのも、オックスの云っていることが、ありがちなもので、それほど、無理無理ではないことにも、気づくことができます。
女声陣3人の歌声にやられちゃて、陶然としているだけの時には気づきにくい、よしなしごとが、いろいろ見えてくる感じがいたしました。
幕切れで、オクタヴィアンとゾフィーが手をとりあって、若々しくじゃれるように駆けていくところなんか、2人の今の立位置がよくわかって、でも、このあと、二人の未来は、どうなるんでしょう、と、感慨深い余韻がありました。ジョナサン・ミラーでも、なかなか、なんでないの。
やっぱ、「ばらの騎士」は、宝塚風オペラの超絶傑作で、いつみても、感心してしまう。おそらく、オペラのなかで、わたしゃ一番好きだなぁ、とあらためて、思ったのでありました。
指揮:シュテファン・ショルテス
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
元帥夫人:アンネ・シュヴァーネヴィルムス
オックス男爵:ユルゲン・リン
オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ
ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー
ゾフィー:アンケ・ブリーゲル
マリアンネ:田中 三佐代
ヴァルツァッキ:大野 光彦【6月4日】
アンニーナ:加納 悦子
警部:妻屋 秀和
元帥夫人の執事:加茂下 稔【6月4日】
ファーニナル家の執事:村上 公太
公証人:晴 雅彦
料理屋の主人:加茂下 稔
テノール歌手:水口 聡
帽子屋:佐藤 路子
動物商:土崎 譲
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
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