前半、第1曲、ソナタ第1番。出だしから、すこぶるつきの極めて美しい音。非常にゆっくりとしたテンポで曲が進んでゆく。極限に近いような弱音が、何しろ美しい。そして、弱音から強音まで、ダイナミクスのひろがりが大きくて、特に弱音が極めて雄弁に耳をそばだたせる。
こんなバッハの無伴奏、聴いたことがない。バッハの音楽の中を、信じられないぐらい自由に泳いぎまわり呼吸している感じ。バッハの表情が千変万化、こんなに舞い飛ぶように感興に満ち溢れたバッハ、あるんだろうか。
古典を金科玉条にするリゴリストならば憤慨しはしないだろうかと心配になるレベル。でも、これほど美しく魅力に溢れた演奏を否定することができる人がいようとは思えない。
とてつもない天才。わたしが生で聞いたバイオリ二ストの中で間違いなく1番の才能、鳥肌ものでした。
まあハイフェッツはもちろん、グリュミオもシェリングも、ズッカーマンもパールマンも生は知らないわたくしなので、意味のない評価ではありますが。
こういう真に自由な精神が奏でる音楽を聴いていると、ヴァレリイが「ドガ・ダンス・デッサン」で言及していた水母の踊りのことが思い浮かんできました。
それにしても、バッハの無伴奏バイオリンて、なんて良い音楽なんだろう。
アンコールは無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番、アンダンテ。
ハーンのバッハ、水曜日にもう一回聴けると思うと、ワクワク、動悸が収まらない。
ヒラリー・ハーン バッハ無伴奏を弾く<ソナタ&パルティータ全曲演奏会>
東京オペラシティ コンサートホール
出演: ヒラリー・ハーン Hilary Hahn (ヴァイオリン, Violin)
曲目・演目
12月3日(月)19:00開演
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV 1001
パルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002
パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004
曲目・演目
12月3日(月)19:00開演
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV 1001
パルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002
パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004
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