新コロナウィルスの不穏な情報氾濫のなか、おっかなびっくり、山田和樹さんのマーラーがあるので池袋へいく。
オーチャードのマーラー・チクルスが終わって、もう2年半になってしまったが、今の山田さんのマーラーは、どんな風なんでしょうか。
前半
まず、「花の章」
チクルスの時の「巨人」は五楽章版だったけど、今回は無難に最終稿です。
前回の日フィルの時は、若やいだ柔らかくみずみずしい音が印象的だったけれど、今日の読響は、ずっと落ち着いた音がしてきます。ホールのせいかしら?
次は
ハチャトリアンのヴァイオリン協奏曲
大昔に1、2度聞いたことはありますが、特段の印象は残っておりません。ハチャトリアンの曲って、難しいところは皆無、聴衆受けバッチリみたいな感じですが、別段悪い感情もありません。でも、はだって聞く気もあまり起きないというところ。
このヴァイオリン協奏曲も、なかなか聴き易くて、なるほどね、大衆音楽としてなかなかの出来とは思いますが、まとまった印象が残りません。いろいろな気分のパッセージがそれなりに出てきますがが、なんとなく散漫で、結局退屈しちゃう感じです。
山田さんこの頃、ロシア物を色々手掛けているみたいですが、おんなじ二流音楽をやるなら、今まで通り、柴田南雄みたいな日本もののほうがましじゃないかしら。もちろん、いまでも日本ものだって、きちんとやっていらしゃいますが。
(ちと、いいすぎですね。この5月には三善晃さんの演奏会があるようですし。でも、昔から、シチェドリンとかのロシアの2流をやるなら、芥川也寸志みたいなのでもやったほうがよかろうに、と思っておりますのです。)
ヴァイオリン のネマニャ・ラドゥロヴィチさん、なかなか表情豊かに弾いていて、十分な出来だったと思います。
期待はできるかもなので、こんどは、もっと歯ごたえのある曲を聴きたいというところ。
アンコールはバッハの無伴奏パルティータ2番サラバンド、表情づけがとっても極端で、聞いている分にはなかなかですが、バッハとしてはちょっとなぁという感じでした。まあ特殊タイプのようです。
後半
お待ちかね、マーラーの交響曲第1番。
山田さんの棒は、前回のように、柔らか味のある、みずみずしい美音が印象的というよりは、もっと表情の隈取りがはっきりして、ダイナミックスもしっかりついた、身ぶりの大きな音楽になっていて、気力の漲りみたいなものが、より前面にでている感じです。
読響も、強めのコントラストのはっきりした音で、正直、美音という感じはあまりしません。
ホールのせいかしら、今日は切符が取れなくて3階だったけれど、そのせいばかりではないんじゃないの。このホール、1階も2階も3階も響きがそれほど大きく変わるわけではないように思うんだけれど。どうなんでしょう。
ということで、4楽章のフィナーレ、なかなかの迫力で締めくくっておりました。全体として、それぞれの楽想の描きわけがしっかりしていて、わかりやすい演奏だったと思います。1番のマーラーは、若者の音楽なんだと、納得してしまいました。
その後、なんとアンコールまであって、バッハのアリア(マーラー編)をすっきり聞かせてくれました。
でも、山田さんにはマーラー・チクルスでやり残した大地の歌と10番があります。特に特に、10番を早く聞かせてくださいな。
読売日本交響楽団第224回日曜マチネーシリーズ
公演日時
2020年02月02日 14時00分 開演
会場名
東京芸術劇場 コンサートホール
指揮=山田和樹
ヴァイオリン =ネマニャ・ラドゥロヴィチ
マーラー:花の章
ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」
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