東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第361回定期演奏会にいく。
吉松隆:交響曲第3番 を、吉松さんと関係が深い藤岡幸夫さんが振るというのでいく気になったわけです。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団って、聴いたことないですが、1975年に指揮者の堤俊作さんを中心に自主運営のオーケストラとして、発足ということなので(なんだか、そんなオーケストラあったよなぁ)、それなりに歴史はある楽団みたい。会場に入ると、高齢者多数、1994年からは東京都江東区と芸術提携を結び、ティアラこうとうを主な拠点としているとかいう話なので、地域蜜着でがんばってるみたいだ。
で、ホールにつくと、指揮の藤岡さんが肺炎とかで、高関さんに交代という張り紙が。交代登板の役割で高関さんにお会いするのは2回目かしら。まあ、きちんとした人なんで十分なんですが、吉松=藤岡ペアの見物が主目的だったので、ちょっと当てが外れた感は否めません。
1曲目
シベリウス:悲しきワルツ 作品44 4分50秒
高関さんらしい、きちんとした演奏です。このオーケストラ、なんだか、弦が厚く聴こえるような。あるいは、管が埋もれ気味っていうことなのかしら。
2曲目
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ピアノの務川さん、初めて聞くひとですが、さすが男性ピアニスト、指が強そうなしっかりした音でバリバリ弾く。さらに、叙情的なところも過不足なくこなして、グリーグならこれで十分でしょう。なんだか、ハリウッドの音楽映画を見ている気分になりました。
これ以上を望むなら、ルプーとかの異能者じゃないと、曲の出来以上にはなりようがないもんなぁ。
務川さん、とってもよく弾けてるけれど、凄くクリーンで素直な演奏という感じ、いまのところは並の一流の入口に立ったということかしら。超の世界にいくのは、普通に弾いてるだけでは難しいんでしょう。
アンコールはホロビッツ編のカルメンとか。いかにも務川さんにピッタリでした。
幕間で、誰かが務川さんプロコなんかが大得意と言ってたが、そうなんだろうね。フランス物がいいらしいので、今度はラヴェルとか聴いてみても良いかもしれません。
休憩後
吉松隆:交響曲第3番 作品75
今日の本命。演奏会前半の開始前に、吉松さんと高関さんのトークあり。
子供の頃喜んで聴いていたシベリウスやチャイコみたいな(どっかで読んだ)昔ながらの交響曲が書きたい。その頃、現代音楽では許されない志向だったんで、藤岡さんがシャンドス(会社名は言わなかった)と組んだときに、どんな曲でもいいから書いてと言われて、それならばと、やりたい立放題やった曲という。CDが出た時、当時の評論家みなさんからガン無視。1行も批評を書いてもらえなかったとのエピソードを披露してくれました。
で、交響曲第3番、まさにやりたい放題。
そして交響曲というより劇伴という感じ。オーケストラの人たちは気持ちよく鳴らしていて楽しそうでいいんじゃないの。
指揮は山上紘生さんが代役にたって、思い切り振っていてこれもよい気持ちだろうなぁという感じ。高関さんのお弟子さんの指揮研究員らしく、まだ二ツ目前、前座に毛の生えたくらいだろうから、十分じゃあないでしょうか。(代役デビューで飛躍できたらいいのにね)
3番って意外と吉松チックじゃない曲かもね。普通は、もっと美味しい音が散らばっている感じだが、旋律が主体な曲でした。おもろいけれど、正直退屈な気がしました(リゲティとか近藤譲とかいっぱい聴いたばっかりのせいなのかも)。もう当分吉松さんはいいかなぁ。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽TOC#361 第361回定期演奏会
2023/6/9 (金) 19:00開演 [18:15開場]
会場:東京オペラシティ コンサートホール
首席客演指揮者 藤岡幸夫がその魅力を伝え続けている作曲家・吉松隆の交響曲をメインプログラムに演奏いたします。定期初登場となる務川慧悟との共演もお楽しみに!
出演
指揮:藤岡 幸夫(首席客演指揮者) Sachio Fujioka,Principal Guest Conductor
ピアノ:務川 慧悟 Keigo Mukawa,Piano
曲目
シベリウス:悲しきワルツ 作品44 J.Sibelius: Valse triste, Op.44
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 E.Grieg: Piano Concerto in A minor, Op.16
吉松隆:交響曲第3番 作品75 T.Yoshimatsu: Symphony No.3, Op.75
【謹告】6/9(金)第361回定期演奏会 指揮者変更のお知らせ
6月9日(金)に開催の『第361回定期演奏会』に出演を予定しておりました首席客演指揮者の藤岡幸夫は、肺炎により1週間程度の入院治療が必要との医師の診断を受けたため、出演することができなくなりました(検査の結果、新型コロナウィルスやインフルエンザ等の感染症の心配はございません)。
つきましては藤岡に代わって、前半のプログラムを常任指揮者の高関健が、
後半のプログラムについては、藤岡に代わりリハーサルを行うなどサポートして参りました指揮研究員の山上紘生が指揮を務めさせていただきます。
山上紘生プロフィール
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員
宮崎県生まれ。4歳よりピアノを小倉貴久子氏、ヴァイオリンを向井理子氏、瀬戸瑶子氏のもとで始める。
第9回日本演奏家コンクール弦楽器部門特別賞受賞。埼玉県立浦和高等学校を経て東京藝術大学音楽学部指揮科に進学し、高関健氏、山下一史氏に師事。
2017年6月パーヴォ・ヤルヴィ氏の指揮公開マスタークラスを受講。ベートーヴェンの交響曲第4番を指揮。同年8月にその模様がNHK Eテレ「クラシック音楽館」で放映される。
3年次には東京藝術大学学生有志でモーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」を企画し指揮する。
また、旧東京音楽学校奏楽堂「木曜コンサート」にてベートーヴェン交響曲第2番を指揮。
4年次には藝大フィルハーモニア管弦楽団と学内演奏会にてリヒャルト・シュトラウス「死と変容」を、卒業演奏会にてシベリウス交響曲第5番を指揮。
尾高忠明氏、角田鋼亮氏、広上淳一氏、下野竜也氏、ジョルト・ナジ氏、ラースロー・ティハニ氏のレッスンを受講する。
在学中に「宮田亮平奨学金」、卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞、若杉弘メモリアル基金賞を受賞。同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程修了。修了時に大学院アカンサス賞を受賞。
2021年度日本製鉄文化財団若手指揮者育成支援制度に合格し、指揮研修生として研鑽を積む。
2021年10月より東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員を務める。
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