何しろあのリヒテルが最高のシューマンの演奏者といったというピアにニストだというのだ。そんなPRの惹句をみると、いってみたくもなるではありませんか。
で、紅葉坂の急坂をやっとこあがると、なんとなく新しい雰囲気の音楽堂が見える。
なんでも平成三十一年にリニューアルオープンしたばかりとか。
そういえば だいぶん以前神奈川県立音楽堂の取り壊しという話があった気がするが なんとか生き延びたということみたい。
日本有数の音の良いホールと喧伝されていたところで、もう大昔ではありますが、わたしも、ルイサダがショパンコンクールで入賞(5位だぜ、なぜだ?1位がブーニンだったのよ)になったすぐ後のコンサートを聞きに来た覚えがある。
音楽堂の外は新装相成りましたっぽい感じが少しはするが、ホールの中はほとんどかわっていないみたい。まあ音響変わちゃうと大ブーイングでしょうから、あんまり手ははいっていないんでしょう。
さて、
ヴィルサラーゼ
前半はチャイコの四季1月から8月。
まあ性格的情景というのか、正直あまりピンとこない曲。私が、特別チャイコ嫌いであるせいばかりじゃないように思うんですが。
次はプロコフィエフの風刺(サルカズム)5曲とトッカータを続けて。
ヴィルサラーゼのピアノはブリリアントというより、どこか温もりのある音、ダイナミクスを強調する感じではないので、よくあるバカテクのロシア派がやるプロコみたいに、暴力的で嗜虐的な感じがない。
リズムのバレースク、ある種余裕たっぷり、機智と遊戯性に富んだ演奏で、大変楽しい聴きものでした。
後半
ノベレッティ8番
正直 どこが良いのかよくわかりません。ノヴェレッテが地味すぎっていうことなのかしら。
次が
お待ちかねの幻想曲
ヴィルサラーゼってブリリアント丸出しにバリバリ弾くタイプじゃない、どこかアンティームな雰囲気があって、そういう意味でシューマネスクなのかもしれません。
でも、リヒテルのシューマンみたいに、心の深いところから湧き上げてくる、熱い夢想にに押し流されて茫然、みたいなシューマンではないようです。
正直、期待が大きすぎたという気がしました。
アンコールは森の情景から予言の鳥、なかなかポエティックで、すんばらしい演奏でした。
音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ26 エリソ・ヴィルサラーゼ ピアノ・リサイタル
神奈川県立音楽堂
2020年1月13日(月) 15:00
出演
エリソ・ヴィルサラーゼ(ピアノ)
プログラム
【プログラム】
チャイコフスキー:四季 Op. 37b 1から8月
プロコフィエフ:風刺(サルカズム) Op. 17
プロコフィエフ:トッカータ ニ短調 Op. 11
シューマン:ノヴェレッテ Op. 21 より 第8番 嬰へ短調
シューマン:幻想曲 Op.17
気品のある演奏で魅了するピアノの巨匠ヴィルサラーゼ、20世紀の名ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルらと親交を結んだロシア・ピアニズムの正統派の継承者。リヒテルから最高のシューマンの演奏者とたたえられたヴィルサラーゼが、シューマンを中心としたプログラムを届ける。
グルジア(現ジョージア)の首都ティフリス(トリビシ)生まれ。
代々グルジアの芸術文化に深いかかわりを持つ家系に生まれ育つ。
ピアノの手ほどきを、祖母のアナスターシャ・ヴィルサラーゼ教授から受けた後、モスクワへ移り、ゲンリフ・ネイガウスおよびヤコフ・ザークに師事。
20歳で、チャイコフスキー国際コンクール3位入賞を果たし、24歳の時にロベルト・シューマン国際コンクールで優勝。
モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンなど、18世紀および19世紀後期の作品に対し深い愛着を持ち、とりわけシューマンの作品の最も優れた解釈を行う現代の演奏家のひとりとして、高い評価を得ている。
また、現代の作曲家を含む、ロシア音楽の幅広いレパートリーを持ち、旧ソ連の権威ある芸術賞を多数受賞している。
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