天守物語を観に、NNTT中劇場にいく。国立劇場の公演ではなく、日本オペラ協会というところの、公演らしい。
天守物語といえば、一目置かざるえない泉鏡花の原作で、阪東玉三郎の新歌舞伎がまず、頭に浮かぶわけだけれど、この、水野 修孝さんのオペラも、前から気になっていたのでした。
この頃、なんとなく、日本の作曲家のオペラづいていて、まあ、その流れでやってきた感じであります。
作曲の水野さんは、私が、若かりし頃、新鋭として売り出し中で、ジャズのイディオムをとりいれたりして、注目を浴びていた人だ。
公演前に、演出の荒井 間佐登 さんの解説があって、なんでも、初演以来今回で、12回目(日本オペラ協会8演目)ということで、ヒット作と言って間違いなさそうである。
荒井 間佐登さん、あがりしょうらしく、あまり、まとまったお話はきけなかったんですが、1幕は6?場の祭囃子、2幕は幽玄能とか、おっしゃっていました。
公演には、作曲者の、水野 修孝さん、台本の金窪 周作さんもいらしていて、ニュープロダクションということでか、気合が入っている感じでございました。
で、前置きはこのくらいで、オペラ天守物語ですが、さすが、泉鏡花原作、とっても面白い。リブレットとして、凄く良い出来だと思います。1夜のエンターテイメントとしては、十分な出来栄えと言っていいのでしょう。
ただ、オペラとしては、どうか、正直、水野さんの作曲ということで、期待しすぎたのかなと思わざるえませんでした。
よくある映画音楽技法の継ぎ接ぎというか、メロディックなところはハリウッド調に過ぎる感じもあり、正直、期待ハズレでございました。
とはいえ、1夜のエンターテイメントとしては、十分な出来映えという事ですので、誤解なきようお願いします。
出演の歌い手の方々も、1夜のお楽しみとしては十分なパフォーマンスでした。主演の富姫 佐藤 路子さんも図書之助の迎 肇聡さんも、なかなかカッコよく、見栄えがしましたし、その他の方々も、なかなかの巧者で、楽しめました。
あと、オーケストラピットに、コーラスが入っていたので、折角いるんなら、演出を工夫して、舞台に上げてくれればいいのに、とか、舞台の袖の妙な音響から、汚い効果音が歌声にかぶったりしたのは、余計なのでやめてほしいとか、細かなご要望があるにはあります。
ただ、中劇場だからでしょうか、声が、気持ちよく伸びてくる感じは味わえず、少し、残念だったかもしれません。でも、これは、望外と言って良いんでしょう。
観ていて、大変に気分がよい見物でございました。出演の方々全員に、ブラヴィであります。
帰りに、劇場の階段を下っていると、大ホールからも観客が降りてきて、生首が、どうのと話しています。なんと、サロメをやっていたみたい。大ホールも中ホールも、生首出現なんて、おもしろい偶然だなぁ、と下らんことに感心してしまいました。
2016年3月6日(日) 14:00開演(開場13:00)
新国立劇場中劇場
日本オペラ協会公演「天守物語」 新制作
原作 泉 鏡花 作曲 水野 修孝 台本 金窪 周作
オペラ全2幕
ニュープロダクション
総監督 大賀 寛
指揮 山下 一史
演出 荒井 間佐登
富姫 佐藤 路子
図書之助 迎 肇聡
亀姫 伊藤 晴
朱の盤坊 豊島 雄一
舌長姥 二渡 加津子
薄 上田 由紀子
侍女 女郎花 松山 美帆
侍女 萩 中川 悠子
侍女 葛 太田 祐子
侍女 撫子 山邊 聖美
侍女 桔梗 丸山 さち
山隅九平 江原 実
小田原修理 塚田 堂琉
姫路城主(武田播磨守)井上 白葉
桃六 中村 靖
合唱:日本オペラ協会合唱団
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:フィルハーモニア東京
鏡花原作、水野修孝作曲のオペラ「天守物語」は今回当会で8演目を迎える日本オペラのレパートリー作品です。
1979年3月、郵便貯金ホール(現在のメルパルクホール)にて初演された「天守物語」は、日本オペラシリーズの中でも最も成功した作品の一つです。
他にも演劇、映画、能楽と様々なジャンルで親しまれていますが、中でも1977年、坂東玉三郎の主演で有名になりました。
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