インバル/都響の第二次マーラー・チクルスを聞き終えた後の、番外の大ボーナスだった、クック補筆完成版の交響曲第10番に立ち会ったのが2014年の7月20日だから、それから、ほぼ3年が経過しているわけだ。
そして、インバル/都響での「大地の歌」(マーラー・チクルスのプレ・イベントだった前回の「大地の歌」は2012年3月29日だから、5年半も遡る。年をとるわけだ。)が聴けるなんて、なんて有り難いことでしょう。
気合をいれて、チケットをゲットしたので、1階11列目のほぼ中央という位置を確保。ここだと、歌い手が、かなり、間近かにみえる。東京芸術劇場ではいい席といえるのかはよく知らんけど。
前半は、交響詩《葬礼》。2番の第1楽章の原型だそう。
インバル/都響の演奏がはじまる。もう、一昨日のノット/東響とは大違い。いい、わるいではなくて、音のたたずまいが別物です。
で、わたくしはというと、やはり、ジジイなので、この安定感のある響きがしっくりきます。そして、心のさざ波がそのまま形になったような、美しい音。
本当に自然な語り口で、必要な音が、必要な時に、必要な強さで流れでてくる。
あとは、響きに身を任せて、マーラーの心の襞を味わっているだけでよいのだ。
交響詩《葬礼》、2番とは、そう違っている訳ではないが、ところどころ、聞いたことがない枝葉の音型や、楽器の音がきこえてきて、少しだけ冗長ということなのかもしれない。
ただ、ブルックナーの4番みたいに、初稿と最終稿は別の曲ということではないものの、ある種、曲の生まれてくる原初の形が味わえる気がして、なかなか、魅力的な感じでありました。休憩後、「大地の歌」。やはり、インバル/都響の響きは、しみじみと、心に染み入ってくる。歌い手は、コントラルト/アンナ・ラーション 、テノール/ダニエル・キルヒ。
ダニエル・キルヒ、一流の歌い手らしいけれど、青春のみずみずしい闊達さは薄かったかも。インバルが「大地の歌」は、マーラーが実演を聴いて修正できなかったので、歌い手とオーケストラのバランスが難しいというようなことをいっていたので、そのせいもあるかも。まあ、ルネ・コロみたいなテノールはそういるわけがないので、文句を言ったら、可哀想なんだろう。
アンナ・ラーションはなかなか、クリアー、克明で、くっきりした歌いぶりで、しみじみとした諦観というより、救済の明るみのようなものがある気がいたしました。
という感じでしたが、インバルの「大地」を満喫しました。
インバル、まだまだ、元気なようなので、今度は、是非、10番をもう一度聴きたいもんである。
都響スペシャル
[場所] 東京芸術劇場コンサートホール
開演時刻:14:00
指揮/エリアフ・インバル
コントラルト/アンナ・ラーション *
テノール/ダニエル・キルヒ *
[曲目]
マーラー:交響詩《葬礼》
マーラー:大地の歌 *
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