大好物、「ばらの騎士」をみに、NNTTへ。今年のオペラ仕舞いが「ばら」だなんて、なかなか素敵なめぐりあわせだ。
ジョナサン・ミラーの演出はもう4回目だが、今回は指揮がウルフ・シルマーさんなので、期待できそう。
で、一幕の前奏、オーガズムの高鳴りがあからさまに響いてきて、やっぱり、すげぇなぁ。上品優美系ではないけれど、リヒャルト・シュトラウスの音楽の劇的なニュアンスを、隈取のはっきりした表現で、克明に描きつくしていて、ほんと、ほれぼれ。
主要人物の、元帥夫人 リカルダ・メルベート、オックス男爵 ユルゲン・リン、オクタヴィアン ステファニー・アタナソフ、ゾフィー ゴルダ・シュルツも、それぞれきちんとしたもので、へこんだところがなく、安心して、きいていられる。
元帥夫人のリカルダ・メルベートさん、ブリュンヒルデを歌うひとらしい、堂々とした、マルシャリン(32歳未満や、25歳とかじゃない)、オックス男爵のユルゲン・リンさんも上手、オクタヴィアンのステファニー・アタナソフさん、2度目だけど、それなり、ゾフィー の ゴルダ・シュルツさん、幕切れの3重唱で、高音がきっちり伸びてきて、聴き映えがしました。
今回の演出、ジョナサン・ミラーの演出とはいうものの、再演演出が澤田康子さんということらしく、かなり、いろいろ、前回と違った味わいがあったように思います。コミカルな所作が明瞭な表現で、ある意味、シルマーさんの劇場的な音楽と、あっているような気がしました。
そして、最後の幕切れ、オクタヴィアンとゾフィーが、結婚式にむかうみたいに、手を高くあわせて、歩いて行く感じで、前回の手を取り合って、子犬がじゃれるみたいに走っていくのとは、全然違う風景でした。(今回は見映えはいいんですが、オクタヴィアンとゾフィーは犬っころというのが、ほんとらしいかも)
あと、この頃感じるのは、「ばらの騎士」を見るたびに、どんどん、オックスが気に入ってくるということで、滑稽なのは大いに結構なんですが、落ちぶれても、貴族っていう風情が濃厚にあると(下種なところはそのまんまよ)、もっと嬉しいんだが、などと、思うんであります。
でも、やっぱり、「ばらの騎士」はええなぁと、極めて楽しい、時間でありました。
新国立劇場 開場20周年記念 2017/2018シーズン
オペラ「ばらの騎士」/リヒャルト・シュトラウス
Der Rosenkavalier / Richard STRAUSS
全3幕〈ドイツ語上演/字幕付〉
オペラパレス
指 揮 ウルフ・シルマー
演 出 ジョナサン・ミラー
美術・衣裳 イザベラ・バイウォーター
照 明 磯野 睦
再演演出 澤田康子
舞台監督 大澤 裕
元帥夫人 リカルダ・メルベート
オックス男爵 ユルゲン・リン
オクタヴィアン ステファニー・アタナソフ
ファーニナル クレメンス・ウンターライナー
ゾフィー ゴルダ・シュルツ
マリアンネ 増田のり子
ヴァルツァッキ 内山信吾
アンニーナ 加納悦子
警部長 谷川 顯
元帥夫人の執事 升島唯博
ファーニナル家の執事 秋谷直之
公証人 晴 雅彦
3人の孤児 前川 依子 小酒部 昌子 長澤 美希
料理屋の主人 加茂下 稔
テノール歌手 水口 聡
帽子屋 佐藤路子
動物商 青地英幸
合唱指揮 三澤洋史
合 唱 新国立劇場合唱団
児童合唱 TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
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