2016-09-18

没後110年 カリエール展 @東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

オットの夕食までの時間調整で、メジューエワのあと、損保ジャパン日本興亜美術館のカリエール展をのぞきに行く。

いかにも、カリエールという、セピア色の、ほの暗い室内の絵。ゆったりとした、おだやかな時間が流れている。

でも、野外の色彩でいっぱいの印象派と同じ時代に、セピア色の濃淡しかないような絵を描くというのは、白黒写真という強力な競争相手に絵画が真正面から対峙しているようで、面白い。

そして、輪郭というものが室内の光の中で溶けていくようなもののあり方を映しているようだ。

そういう、マスだけみたいな造形の中で、演奏する女性の動きを抽出したような晩年の「ヴァイオリンを弾く娘」が印象的だった。

そして、やはり晩年の、家庭の情景を描くことが多かったというカリエールが、出産というある意味、危険を孕んだ命の儀式を、日常のなかの一つの出来事としてとらえているような「誕生」の習作が、ある種の深さと厳しさをたたえていて胸をうつ。

あたたかい「母性愛」 の画家というだけではない、カリエールの世界があるように思われた。


没後110年 カリエール展
会期
    2016年9月10日(土)~11月20日(日)
会場
    東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
    〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
開館時間
    午前10時-午後6時、 金曜日は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)

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