2019-09-24

チョ・ソンジン(p) モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K. 397 ピアノ・ソナタ K. 281 シューベルト:さすらい人幻想曲 ベルク:ピアノ・ソナタ ロ短調 Op. 1 リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 @サントリーホール

ショパン・コンクールの覇者、チョ・ソンジンのリサイタルに行く。芸術的才能では、韓国のひとって、なかなかなんじゃと思うことがありますので。

前半
モーツァルト エスプレッシーボの塊みたい。これは、もう、ショパンですね。凄い才能とは思ったが、やっぱりやりすぎ。モーツァルトの音楽の浮遊感はまるでなし。

次はシューベルト
さすらい人幻想曲。やっぱりひたすら、エスプレッシーボ。
そうかぁと思ったが、シューベルトのエランの本流のような魔的瞬間はない気がする。 シューベルトは適性がないとやっぱり難しいようだ。
チョ・ソンジンさんの才能と表現力の高さはひしひしと感じたけれど。

後半。
ベルクのピアノ・ソナタ。
あまり聞いたことがない曲だけど、 ベルクの最初期らしく、世紀末ヴィーン表現派という雰囲気に、ラヴェルかなんかみたいな瞬間があったりして、聞き映えがした。チョ・ソンジンさんに意外と合うんじゃないと思う。名演と言っていい出来。ベルクぐらいになると、チョ・ソンジン流がぴったりくるようだ。

ソンジンさん、間をおかずにリストのピアノ・ソナタに突入。こういうあざとさ満点の曲だと、ぴったりハマって、とても気持ち良く聞いていられた。

前半は余分だったような。

アンコール
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番「葬送」より 第3楽章
ショパンもここまでエスプレッシーボだと ちょっと引いちゃうなぁ。表現意欲すげぇとはおもうが 、気品みたいなもんはほとんど漂ってこない。
わたしとしては、もっと格下かもしらんが、ヤブウォンスキみたいなのがやっぱり好きであります。

最後はモーツァルトのピアノ・ソナタ 第12番 K. 332 第2楽章
やっぱりエスプレッシーボの塊。もう地表すれすれを漂っている感じ。魂はモーツァルトかもしれないが、音が全然モーツァルトじゃない。
まあ 若くて才能が有り余ってるんだから、いまはこれでいいのかも。

あと会場の雰囲気が普通のコンサートと別物。女性しかいないのかと思うくらいで、ジジババの姿はちらほらとという感じ、圧倒されました。

そして、会場に真央君を発見、期待してるんで頑張ってねとジジイは思いましたとさ。




チョ・ソンジン(p)

2019/9/24(火) 19:00 開演 18:20 開場
サントリーホール 大ホール

曲目・演目
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K. 397
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K. 281

シューベルト:さすらい人幻想曲 ハ長調 D760
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ベルク:ピアノ・ソナタ ロ短調 Op. 1
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S. 178

アンコール
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番「葬送」より 第3楽章
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第12番 K. 332 第2楽章


ショパン国際ピアノ・コンクール優勝から4年 若き俊才の今を聴く!
チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル
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日時・場所:
2019年9月24日(火) 19:00
サントリーホール
7:00p.m. Tuesday, September 24
Suntory Hall
出演: チョ・ソンジン Seong-Jin Cho(ピアノ, Piano)
ニュース:
◆日本ポーランド国交樹立100周年◆
日本・ポーランド国交樹立100周年記念
ポーランド芸術祭2019 in Japan 参加公演
⇒ 日本ポーランド国交樹立100周年特設サイト

公演に寄せて
チョ・ソンジン~透徹した精神の響き

 難易度の高い曲を鮮やかに弾きこなす卓越した技巧と華のあるパフォーマンス。でもそれだけでは真の感動には至らない。なぜなら、他の芸術と同様、音楽もまた、作り手の「精神的なものの感覚化」だからだ。つまり演奏家の精神的な質が音楽に奥行きや趣を与えるのだが、そう簡単に身につくものではない。長い思索の時間と相応の人生経験が必要なので若い人には難しい。普通はそう。でも例外もある。たとえば、チョ・ソンジン。

 ショパン・コンクールで優勝して国際的な注目を集めたのは21歳の時のこと。その後彼の演奏は急速に精神的な深みを増し、スケールが大きくなっていった。僅か一年余りで驚くべき変化だが、実際に会ってみて納得した。コンクールの翌年、筆者の前に現れたソンジンは、自己への確たる信念と周囲に対する静かな眼差しをもった若者だった。相手を気遣いつつ、落ち着いた声で音楽への想いを語ってくれた。その時、筆者には彼自身の人一倍の努力と自己への厳しさに裏打ちされた、内面的な成熟と透徹した精神が感じられたのだ。それが、「美しさ、哀愁、激しさを持つピアニスト」といわれるソンジンの演奏に特別な魅力を与えているのは間違いない。

 それにしても、ここ数年の活躍振りには瞠目すべきものがある。カーネギーホールでリサイタルを2度も成功させ、ベルリン・フィルなど世界一流のオーケストラと共演するなど破竹の勢いだ。そんなソンジンが9月に来日し、一度限りのリサイタルを行なう。モーツァルトの《幻想曲》ニ短調に始まり、ソナタ第3番、《さすらい人幻想曲》、ベルクとリストのソナタという「ファンタジー」のキーワードで括れそうな重量級のプログラムだが、これらの曲にソンジンの透徹した精神がどのような魅力を与えてくれるのか、今からとても楽しみにしている。

那須田務 (音楽評論) BYジャパン・アーツ

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