新宿文化センター開館40周年記念公演だそうだが、新宿文化センターなんて初めて行くなぁ。
ユロフスキーはかなり注目の指揮者らしいが、あまりよく知らない。わたくしの、お目当ては、諏訪内さんのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」であります。
2年前聴いた、あの諏訪内さんの妖艶なシベリウスが忘れ難く、大好物のブラームスがどうなるのか是非きいてみたかったのだ。
で 出だしのオーケストラ、久しぶりに ドイツの音ってこういうのだなぁと思わされる。
こういう音で鳴らされると、ブラームスがベートーヴェンのあとを引き継ぐ作曲家なんだと強く思わされた。
そして、ブラームスのヴァイオリン協奏曲が、壮大なブラブーラの曲という感じになる。
ユロフスキーさん、弱音を大切に扱って、曲想ごとの性格を際立たせる。
諏訪内さんも非常に細やかな表情ずけを凝らして 情緒いっぱい。
でも、本調子じゃないのかな。すこし荒いかしら。でも 2楽章からは、かなり調子が上がってきたような感じでした。
ただ、ユロフスキーと諏訪内さんの音楽が微妙に違っていて、相乗効果で盛り上がる感じではないような気がしました。
そして、3楽章なんかまさにブラブーラの音楽そのものっていう感じ、ドイツのオーケストラの威力を見せつけられました。
諏訪内さんのアンコールはイザイ。技巧的だけどあんまり素敵な曲じゃないかもね。
後半、マーラーの「巨人」。
1楽章のトランペットが舞台裏の楽屋から聞こえてくる。へへー。
ユロフスキーさん、すごく珍しい、新しいマーラーだった。
曲想のパーツパーツの性格が明瞭に描かれる。そして、マーラーのオーケストレーションが裸形に聞こえてくる。
といっても、今どきのよくある、分析的な演奏というのでもない。もっと別世界、なんというか、音響デザインを聴いている感じとでも言いたい気がしました。
曲想の性格づけがとても明確なので、マーラーの「巨人」の物語がよくわかるが、音楽の情念というものからは遠いという、とても」斬新な曲づくりだなぁ驚きしました。
そして、オーボエとかホルンとかトランペットとかハープのパーツの音があんなにはっきり聞こえてくるんなんて、これはホール(横の壁にパイプオルガンまであるのはびっくりでした)のせいもあるなかしら。なんだか音が溶け合うのではなくて、はだかになってきこえるのだ。
あと、最終楽章の終結部のホルン、全員たあがって吹き鳴らすのは印象的でした。
これは、本当にあまり聞いたことのない新しいマーラーで、評価するひとがいっぱいいるんじゃないだろうか。
でも、わたしは、正直なところ、あまり好きではないです。新しすぎるので、すっかり、おいてきぼりでした。ジジイの悲哀をつくづく感じした。
アンコールはニュルンベルクのマイスタージンガーから、素敵な曲ですねぇ。
終演予定は21:00と聞いてましたが 、21:20をまわってしまいました。珍しい、かえりのロマンスカーに間に合うか、心配であります。
P.S.
翌日、東京文化会館で、インバル/都響のブラームス 悲劇的序曲を聴いていて、昨日のユユロフスキー/ベルリン放送交響楽団があんなに裸形に聞こえたのは、やっぱり新宿文化センターホールの影響がかなりあったのかなぁと思いました。
聞き慣れた東文やサントリーと違って 音が丸裸で、ホールのオーケストラというより、室内楽の響きの集合体ていう感じだったですもの。
ユロフスキーについては、はもう少し聞きなれたホールで立ち会ってみないと、正体はわからんような気がしました。
新宿文化センター開館40周年記念事業
V.ユロフスキー/ベルリン放送交響楽団 演奏会
日時
2019年3月25日(月) 19:00開演
会場
新宿文化センター 大ホール
(新宿区新宿6-14-1)
【東京メトロ副都心線/都営大江戸線】
東新宿駅 A3出口より徒歩5分 A3出口からの行き方
●都営大江戸線 ・東京メトロ副都心線
『東新宿駅』 A3 出口より徒歩 5 分
新宿イーストサイドスクエアのビル内を通り、ビルの
反対側へ。ビルの前の道を左方向へ進み正面
出演
指揮 :ウラディーミル・ユロフスキー
ヴァイオリン:諏訪内晶子
管弦楽:ベルリン放送交響楽団
曲目
ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」
マーラー 交響曲第1番「巨人」
平成31年、新宿文化センターは開館40周年を迎えます。
これを記念して、新宿区と友好都市であるベルリンのミッテ区を本拠地とする、ベルリン放送交響楽団の演奏会を開催します。
いま最も注目を集める若手指揮者の一人、ウラディーミル・ユロフスキー指揮でマーラー「巨人」、
諏訪内晶子をソリストに迎えブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」をお送りします。豪華共演をお聴き逃しなく!
来日直前レポート
中村真人(ジャーナリスト/在ベルリン)
来日公演が迫るウラディーミル・ユロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団のコンビが、
2月24日、ベルリン・コンツェルトハウスにおける定期演奏会に登場した。
コンサートの前半では、諏訪内晶子が登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を共演した。
ユロフスキー指揮による彫りの深いオケの前奏に続いて、プリマドンナのような貫禄でヴァイオリン・ソロを弾き始める。
諏訪内の演奏を聴くのは久々だったが、以前からの作品に向かう真摯な姿勢はそのままに、
音楽の構えが大きくなり、響きも一層味わい深くなったように感じられた。
第2楽章ではオーボエのクララ・デント、フルートのウルフ=ディーター・シャーフといったこの楽団の看板奏者たちとの間で
機微に富んだやり取りが交わされ、ホール空間に親密な空気が生まれる。
フィナーレ後の喝采を受けて、諏訪内はイザイの無伴奏ソナタ第2番から「妄執」をアンコールに披露。コンサート前半を鮮やかに締めた。
さて、メインプログラムはR・シュトラウスのアルプス交響曲。
首席指揮者に就任して2シーズン目となるユロフスキーは、現在マーラーの交響曲に力を入れているが、
後期ロマン派の大規模な管弦楽作品は彼らのレパートリーの核のひとつになりつつあるようだ。
結果的に、その期待は十二分に満たされた。
ユロフスキーという人は、作品全体を見通す並外れた能力を有しているように思う。
アルプスの1日を描写したこの曲について彼は、「生から死に向かう人間の一生のアレゴリー」と述べているが、
この長大な作品を、明確な意思と構築性をもって雄大かつこまやかに描き切る。
アルプス登山のさまざまな自然の音に包まれながら、例えば嵐の後に現れる夕暮れの描写では、
作曲家自身の生をも照らし出すかのごとく、荘厳に味わい深く鳴り響いた。
終演後のカーテンコールで、舞台後方までぎっしり並んだオーケストラのメンバーがユロフスキーに一斉に拍手を送るシーンがあった。
この両者がいままさに波に乗っていることの証であろう。
なんですと。
0 件のコメント:
コメントを投稿