ドニゼッティのルチアを見に,NNTTへ。
新国立では2度目のルチア公演、でも、新制作とか。
わたくしめ、ペラキチでは全然ないので、ドニゼッティとかのベルカント・オペラには、ほとんど興味がない。ロッシーニさえあれば、あとは、ヴェルディまで、聴く必要はないよなぁなどと、横柄に構えて、ルチアの実演は初めてだ。
演出は、ジャン=ルイ・グリンダさん、モンテカルロ歌劇場の総監督で、今回のルチアは、この歌劇場との共同制作ということらしい。
で、1幕の出だしから、海岸の断崖が、映像の海岸線と、水平線上の黒雲の流れの中にあらわれ、合唱が始まる。
もう、映画を見ているみたい。ハイテクであります。びっくら。
続いて、エンリーコのアルトゥール・ルチンスキー、登場。おお、ベルカントじゃ、ええ声やぁ。
次に泉の場に変わり、オルガ・ペレチャッコ=マリオッティさんのルチア、男装で登場。これは、ルチアの性格づけのうえで、すごく、意味があったみたいだ。気弱な女性が流されたあげく狂乱ということじゃぁないよ、ていうことのようです。
オルガ・ペレチャッコ=マリオッティさん、試運転のあと、徐々に調子を上げている。さいごがあるからなぁ。
で、 おまちかね、エドガルドの、イスマエル・ジョルディさん、登場。あま~いイタリア声のテノール、まさにベルカントであります。かっこいい二枚目だし。奥さん、ウットリ。主役級の男性陣、文句なしであります。
2幕。指揮の、ジャンパオロ・ビザンティさんも、引き続いて、すこぶる、快調にドライブ。合唱もイタオペ感満載で、盛り上がる。 幕切れの6重唱、すんばらしい。歌い手がそろっていると、こんなに、聴き映えがするんだ。ブラヴィ!ブラヴィ!ブラヴィ!(いつもご出演の妻屋さんも、やっぱり、うまい)
第3幕。いよいよ、狂乱の場。ルチアが、槍の頂きに新郎アルトゥーロの生首をさして登場。ゲゲゲェ~。オルガ・ペレチャッコ=マリオッティさん、真迫の歌唱。優しい乙女の心が折れるというより、自分の意志の力で、狂気を呼び込んだような、狂乱の場になっていた。ちょっと、普通と違う、切り口なんではと思われます。
しかし、ともあれ、声のそろったときのベルカント・オペラの面白さを、十分味あわせてくれたルチアでした。
ドニゼッティの音楽も、あと、もう少しで、ヴェルディという、さすがの出来ばえで、代表作だけのことはあります。
奥さん、ドニゼッティの音楽のほうが、美しい声を楽しむに丁度いい、ヴェルディやプッチーニみたいに、心が乱され過ぎなくて、安心、大好き、だそうです。なるほど。そんなものかしらねぇ。
というわけで、大満足の初「ルチア」実演見物となったのでありました。
P.S.
サシャ・レッケルトさんのグラスハーモニカ(ヴェロフォンという改良型らしい)が、狂乱の場に堂々登場。2011年3月19日のデセイのメト・ライブ・ビューイングでも使えなかったレア楽器(デセイ、アカペラでやっていた。スゴ)で、新国立、大健闘です。奥さん、コロラトゥーラとグラスハーモニカの2重奏って、ほんと、聴き映えがする、やっぱり、グラスハーモニカがなくっちゃね、だそう。
オペラ「ルチア」/ガエターノ・ドニゼッティ
Lucia di Lammermoor / Gaetano DONIZETTI
全2部(3幕)〈イタリア語上演/字幕付〉
オペラパレス
【共同制作】モンテカルロ歌劇場
指 揮 ジャンパオロ・ビザンティ
演 出 ジャン=ルイ・グリンダ
美 術 リュディ・サブーンギ
衣 裳 ヨルゲ・ヤーラ
照 明 ローラン・カスタン
舞台監督 村田健輔
(指揮) ジャンパオロ・ ビザンティ
(演出) ジャン=ルイ・ グリンダ
キャスト
ルチア オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ
エドガルド イスマエル・ジョルディ
エンリーコ アルトゥール・ルチンスキー
ライモンド 妻屋秀和
アルトゥーロ 小原啓楼
アリーサ 小林由佳
ノルマンノ 菅野 敦
合唱指揮 三澤洋史
合 唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
【グラスハーモニカ】サシャ・レッケルト
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