2015年12月に日本で16年ぶりという再演に立ち会うことができて、印象深かったオペラだが、また、こんなに早く、見ることができるなんて思いませんでした。有難いことであります。
今回は東京二期会、東京交響楽団で、宮本亜門演出ということだそうです。
さて、横浜で見た金閣寺寺とは随分違う演出で、溝口の内面で全てが進行するという建てつけになっていました。
ということで、回想する歌い手 宮本益光の溝口 の傍らには、ダンサーのヤング溝口がいつもいて、現在形の心情を表現します。
横浜の舞台では金閣寺が劇場空間を支配していて、その内部で物語が進行。そして京都の街も明るい光の中にあらわれるが、今回は全てが溝口の薄暗い内なる世界。
また、横浜のときは舞台裏に立ち退いていた合唱が、作品の主役としてコロスのように存在感を高めている。(これは、そのほうがやっぱり良い)
金閣寺は溝口の観念の上に、秘めやかに隔絶して存在する。
いずれにしても、青年がとりつかれた想念と現実の肉体の相克という、懐かしい青春の観念劇が生々しく繰り広げられて、そのドラマをたっぷりと聴かせてもらいました。
黛敏郎さんの音楽、オペラとして素直に聴き映えがして、素敵。マキシム・パスカルさんの指揮も良いキレをしめしていました。歌い手の方々も、納得のでき。
宮本亜門さんの演出も洗練されていて、オペラの展開を上手に整理していたと思います。(溝口の内面劇なので、舞台がずうっと暗いのは、いたしかたなしかなぁ。横浜の時みたいに、もう少し光があふれる場面もあると、さらに、楽しかったかもね)
いずれにしろ、大満足の公演でした。
◆東京二期会オペラ劇場「金閣寺」
フランス国立ラン歌劇場との共同制作
会場:東京文化会館 大ホール (東京都)
オペラ全3幕
日本語及び英語字幕付き原語(ドイツ語)上演
原作:三島由紀夫
台本:クラウス・H・ヘンネベルク
作曲:黛 敏郎
2019/2/24(日) 13:00 開場 14:00 開演
演予定時間:約2時間20分(休憩1回を含む)
スタッフ
指揮: マキシム・パスカル
演出: 宮本亜門
装置: ボリス・クドルチカ
衣裳: カスパー・グラーナー
照明: フェリーチェ・ロス
映像: バルテック・マシス
合唱指揮: 大島義彰
舞台監督: 村田健輔
公演監督: 大島幾雄
キャスト
2月24日(日)
溝口 宮本益光
鶴川 加耒 徹
柏木 樋口達哉
父 星野 淳
母 腰越満美
道詮和尚 志村文彦
有為子 冨平安希子
若い男 高田正人
女 嘉目真木子
娼婦 郷家暁子
ヤング溝口(ダンサー) 前田晴翔
合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京交響楽団
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