ラドミル・エリシュカが、東京で振ると知り、待ってましたということで、チケットを入手、今日行ってまいりました。
少し前までは、オペラ見物にしか行かない状態が、20年ほど続いていたので、チェコ方面については、ヴァーツラフ・ノイマンの実演を聴き逃したという、極めて、極めて大きな後悔があります。
いま、ネットで調べたら、1984年12月N響定期Bプロで、ノイマンのマーラーの交響曲第3番という、夢のような組み合わせの名演があったらしい。ノイマン、マーラー、第3番、どうして、これを聴き逃しちゃうのか、おバカさんにもほどがあるってもんです。
と、このようなトラウマをかかえておりますので、エリシュカは、どうしても、聴いてみたかったわけです。
エリュシカについては、情報弱者のため、2年ほど前に、初めて知りました。なんでも、チェコのしられざる大物で、80歳をすぎて、初来日、皆さんの度肝を抜いたんだとか。
今は、札響とのドヴォルザークのCDが、5番から9番まで出ているけれど、来日した時点では、国外ではあまり知られていないようで、死ぬまでにドヴォルザークの交響曲、後期だけでも、録音したいと言っているのを、読んだ記憶があります。
今回は、読響に初登場、ドヴォルザークの新世界と、近頃、大活躍中の河村尚子さんと、モーツァルトのピアノコンチェルト第21番をやるという、興味津々の組合せ。怖いもの見たさ?のドキドキも混じって、大変、楽しみなコンサートであります。
前半は、スメタナの売られた花嫁序曲でスタート、読響も気合いが入っているみたいで、アインザッツばっちり、清々しいほどきっちりあったアンサンブルで、いっきに、聴かせる。
ま、名刺がわりの、一品ということみたい。
次にお待ちかねの、モーツアルトの21番、エリュシカのおっとりめのバックアップに、河村尚子が、若々しく動き廻る感じ。
ただ、モーツァルト(特に、ピアノ協奏曲は大好物なので)だと、どうしても、ジジイ特有の小舅根性がでて、厳しめのチェックをいれがちになる。
河村さん、この音質だと、モーツァルトは厳しいかも。もう少し、突き抜けた透明感が欲しい。それに、音がもうすこし重力にさからって、迅速に駆け抜けて行ってくれないと、音が感情に追いつかれてしまいがちになる。
そんなわけで、演奏に河村さんの思考というか、解釈というか、夾雑物が付着しているみたいな気がして、モーツァルトに没入できないもどかしさを感じてしまいました。
カデンツァは、よく聴くやつではなく、自作か?。もしかしたら本体でも、少しだけ装飾音を加えたところが一部だけだがあったかも、これは、ぜんぜん不確かで、誤解かな(普段あまり聞こえてこない左手の内声が、ときどき目立ったせいかも)。
盛大な拍手をあびて、アンコールは、ソナタ第12番Fmajor.K332の第3楽章でした。
後半は、いよいよ、御大の新世界。ライブの新世界って、いつごろ聞いたっけ、というほど、憶えがないので、読売交響楽団の気合の入った演奏に、感心する。
ただ、曲が曲なので(新世界って、のりがよくて、わかりやすい、いかにも名曲だなぁとは、思いましたヨ。若いころはよく、ケルテス、ウィーン・フィルなんかを、しみじみ、きいておりましたです)、一定以上には気分が盛り上がらない、というのが、正直なところ。エリシュカの演奏は、鄙びた地方色というより、かなり、まともに、すっきりと、歌いあげる趣で、正統派な感じでございました。
あと、東京芸術劇場の音響のせいなのか、読響の低声部に、もう少し厚みがあればなぁ、とかは思いました。全力投球、弦なんか、凄い精度で、渾身の演奏という感じで、良かったんですが。
聴衆、大拍手。ラドミル・エリシュカも満足そうで、弦の面々を讃えておりましたです。
アンコールはスラブ舞曲OP72-2、これが、なんと、超絶の美演でした。お口、あんぐり、です。これを聴けただけで、今日は、大満足、という感じでございました。吉。
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