2016-11-07

柴田南雄生誕100年・没後20年記念演奏会 指揮:山田和樹、日本フィルハーモニー交響楽団、合唱:東京混声合唱団、武蔵野音楽大学、 尺八:関 一郎 @サントリーホール

サントリーホールの柴田南雄の没後20年、生誕100年の記念演奏会に行ってきた。

柴田南雄さんといえば、若い頃、FM放送で、ドナウエッシンゲン音楽祭?なんかの音源を使って、ヨーロッパの音楽の今のについておしえてくれた、わたしにとって、現代音楽の、いわば、メンターでしたので、やはり、思いいれがある。

作曲家としてよりも、博覧強記の学者詩人という印象が強い人なんだけれど、大分以前、初台のタケミツメモリアルで聴いた、追分節考は、強烈な記憶が残っている。

今回の、記念演奏会は指揮の山田和樹さんがメインになって、私費もつぎ込んでというものらしく、特に、「ゆく河の流れは絶えずしては」、初演以来4回め、27年?ぶりの演奏ということで、とても気合いが入っているみたいです。

いつものように、演奏の前に、山田さんのプレトークがありました。

第1曲目《ディアフォニア》、和樹さんの生まれた年に作曲(それが、演奏の理由だそう)、偶然性を取り入れた、オーケストラ曲ということで、指揮者山田さんの個性か、柴田さんの個性か、優しみのある非常に美しい響が楽しめた。

第2曲目、お待ちかねの「追分節考」。
サントリーホールの箱がいいのだろう、山田さんの特徴である、繊細で美しい響のせいか、なんとも、陶然とさせられる音が会場を満たし、うっとりしてしまう。

タケミツホールで聞いたときは、二階席だったので、ホールを動き回る、歌い手が、日本のあちらこちらで馬子唄を歌いながら巡り歩いているのを、空の上から、俯瞰している感じだった。
江戸時代の美しく鄙びた日本の音楽空間を目のあたりにしているような気がしたが、今回は、合唱の濃密な響につつまれ、美感で圧倒された感じである。

休憩後、目玉の、「ゆく河の流れは絶えずして」。
CDで聴くのと全然ちがう、圧倒的な臨場感。特に、第二部の合唱メインのシアターピースになったあたりは、ホール全体に満たされた響に全身がつつまれて、「流れに浮かぶうたかた」になり、時間の大河を下っていくような気分、輪廻転生の宗教的な浄化の想いを存分に味わうことができた。

柴田南雄さんって、学者詩人のマイナーポエットじゃあなくて、思っていたよりも、ずうっと優れた、本格の作曲家なのかもしれない。などと、すっかり、山田和樹さんに洗脳された1夜になったのでした。

12月にいく、「萬歳流し」が、すごく楽しみであります。




柴田南雄生誕100年・没後20年記念演奏会
~山田和樹が時代につなぐ《ゆく河の流れは絶えずして》~
2016年 11月 7日(月)午後7時開演 

出演者
    指揮:山田和樹
    合唱:東京混声合唱団、武蔵野音楽大学
    尺八:関 一郎

プログラム
   柴田南雄:《ディアフォニア》~管弦楽のための
    柴田南雄:シアターピース《追分節考》
    柴田南雄:交響曲《ゆく河の流れは絶えずして》

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