内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ 2023 内田さんのモーツァルト2回公演の1回目に行く。25番と27番 モーツァルトの後期の協奏曲をたっぷりと、という感じです。楽しみに、サントリーホールへ。
1曲目
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503
意外にかなりの難曲だと思うが、内田さん、まずはオペラでも始まるように、構えの大きなスタート。
でもその後は、グイグイ押すということではなく、いかにも この曲は大協奏曲なんだなぁという感じの運びになる。
といっても、別に大仰ということじゃなくて、曲のクオリティに相応しい弾きぶりということなのだ。そして、粒立ちのよい、クリスタルのような美しい音。美音は正義。モーツァルトは、こういう純度の高い美しい音がやっぱり必要なのだ。平明な中に、深い情感に溢れていて、さすがの演奏だった。
2曲目
シェーンベルク:室内交響曲第1番。大戦前の煮詰まった情感があって、いかにも初期のシェーンベルク。意欲満々で作曲した感じで、おおいに聞き応えありでした。やっぱりヒンデミットなんかよりはずっといいなぁ。
休憩後
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
超絶、名曲。そして、この作品のクオリティに負けない、充実した演奏で、さすがである。
内田さんて、頭脳派なので、モーツァルトととの相性は??なんだと思うんだが、実際は、全然問題なし。
これは ブレンデルなんかもそうなので、不思議なもんである。
いっぱいある音のパレットを使いまくるんじゃなくて、必要最小限に削ぎ落とす。それが モーツァルトには大事なところだ。
27番、最晩年の曲なので、どうしても、過剰な思い入れが避けられないところなんだが、内田さんの演奏を聴いていると、柔和な光に溢れた空気が曲全体を覆っていて、なんとも、胸の深いところをを打たれる気がする。決して、大袈裟な慟哭みたいなものががあるわけではなく、静かに静かに終がやって来る。そして、それは、染み入るような光に満ちている。
モーツァルトのピアノ協奏曲ってやっぱり、傑作の森である。
あと ホール入場時に手荷物検査があったので、さては上皇后様 ご臨席かと思ったら、休憩後の27番が始まる時に、上皇后様だけでなく上皇もいらっしゃり、お二人でご入場、万雷の拍手でお出迎えをうけておりました。
ご高齢のお二方が、ご一緒に27番番を鑑賞なさる、なんだか感慨深いものがありました。
日時
2023年11月2日(木) 19:00開演
会場 サントリーホール大ホール
出演
ピアノ・指揮:内田光子
マーラー・チェンバー・オーケストラ
曲目
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503
シェーンベルク:室内交響曲第1番 ホ長調 作品9
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ホ長調 K. 595
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