2017-10-14

リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」第3日「神々の黄昏」 @NNTT

新国立、飯守さんのニーベルングもいよいよ、最終章、「神々の黄昏」にいく。6時間座っていなくちゃなんない(休憩はあるが)ので、覚悟の出陣であります。

プログラムみたら、オケピットは読響、ヘェーとびっくり。だいじょぶかいなですが、でだしのらっぱがあれれだったけど、まあ、なんとかなっていた様な気がしました。音が、なんとなく、軽いけれど、ほかの日本のオケだって、そんなところでしょう。

今日の、飯守さん、鳴らす鳴らす、ジークリートの死なんか、いままで新国立できいた最大音量じゃないのっていうぐらい。

主役陣、立派な声の方々でしたが、オーケストラに負けそうな時まであって、飯守さんの気合を感じましたです。

ジークフリートのステファン・グールド、3幕の昔語りの場面など、きかせてくれました。純真?なサロペット姿のジークフリートなんで、英雄というより、ただのがきんちょにしかみえません。腕力馬鹿のパルシファルというわけで、演出の意図としては、しごくわかりやすい人物像になっているみたいです。

で、ジークフリートの最後の音楽が、キャラクターに比して立派過ぎな感じ。(勿論、感涙にむせびましたが)

ブリュンヒルデのペトラ・ラング。ワルキューレというより、もっと女性的なブリュンヒルデ(あのジークフリート対比ですから、母性的というべきなんでしょうか)で、このフリードリヒの演出にはあっていたように思います。

終幕の場面、白い布の下で最期を迎えていたブリュンヒルデが、布をまきあげて現れる最後は、とても印象的でした。再臨したというより、神々が終末を迎える世界をブリュンヒルデがまるごと救済する。ということなのでしょうか。「ニーベルングの指環」って、結局、ブリュンヒルデの物語なんだなぁと強く思いました。

これが、ゲッツ・フリードリヒの最後の「指環」というわけです。(やっぱり、わたしゃ、トンネル・リングがいいですが、なるほどなぁ、と納得させられた気にはなりました)

ほかの、主役級もききごたえありでございました。アルベルト・ペーゼンドルファーのハーゲン、すばらしい。深く美しい声で、陰気な策謀家ではなく、冷え冷えとした意志の漲る魔的な人物になっています。

ヴァルトラウテは超大物、ヴァルトラウト・マイヤー 終演後のカーテンコールで大喝采。

グンターのアントン・ケレミチェフ、グートルーネの安藤赴美子、妖気ふんぷんの退廃的な名家の末裔というより、気弱で腺病質な生命力のない人物をそれらしく歌いだしていて、役柄にうまくマッチ、よい感じであります。

ただ、アルベリヒの島村武男さんだけは、ちょっと、小物な感じが強すぎて(演技もコミカル)、事の発端をつくりだした執念の怪物という凄味がないと、いけないんじゃと思いました。演出の意図なのかしら?

いずれにしろ、やっぱり、「黄昏」はききごたえがあります。6時間座っている荒行なんですが、十二分以上の価値がありました。

ワーグナー長すぎるので、行く前は及び腰になりますが、こういう音楽をきいてしまうと、「ニーベルングの指環」また行きたい、なんて、つい、思ちゃいます。用心、用心。



リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」第3日「神々の黄昏」
2017年10月14日(土)14:00 
新国立劇場 オペラパレス

指 揮 飯守泰次郎
演 出 ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳 ゴットフリート・ピルツ
照 明 キンモ・ルスケラ

キャスト
ジークフリート ステファン・グールド
ブリュンヒルデ ペトラ・ラング
アルベリヒ 島村武男
グンター アントン・ケレミチェフ
ハーゲン アルベルト・ペーゼンドルファー
グートルーネ 安藤赴美子
ヴァルトラウテ ヴァルトラウト・マイヤー
ヴォークリンデ 増田のり子
ヴェルグンデ 加納悦子
フロスヒルデ 田村由貴絵
第一のノルン 竹本節子
第二のノルン 池田香織
第三のノルン 橋爪ゆか
合 唱 新国立劇場合唱団 
管弦楽 読売日本交響楽団

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