ルネ・レイボヴィッツの芸術(13CD ベートーヴェ交響曲全集&ロイヤル・フィルをふくむ)を入手した。
レイボヴィッツは、私が生まれて初めて買ったベートーヴェンの交響曲全集を振っていたひとで、高校生だったわたしのクラシック入門のメンターの役割をはたしてくれた人物である(なぜに、レイボヴィッツなんてレアものを、ですが、理由は簡単、リーダ-ズ・ダイジェストからでた、超廉価盤だったんですの)。
高校生のわたしは、通学途中の電車の中で、ババババーーンとつぶやいたり、レコードを聴きながら、腕を振り回したり、ありがちな惨状を呈した挙句、大学入学、小林秀雄にころっと洗脳されて、モーツァルティアンをきどることに。憎くっき、ベートーベンなんぞは、新宿西口にあった古レコード屋に売り飛ばす、という残念な歴史をたどります。
その後、だいぶたって、ベートーベン・アレルギーはめでたく完治、最近、としよりの暇に任せて、いろいろのベートーヴェン交響曲全集を聞き比べたりする機会がありました。
で、ベーム、カラヤン、クレンペラー、コンビチュニー、ザンデルリンク、バーンスタイン、アッバード、ブロムシュッテト、ヴァント、などをさまよって、現在のわたしにとってのベストのセカンド・チョイスはコンビチュニーであるという、結論を得ます。残念ながら、ベスト・オブ・ベストはなしでした。
その過程で、もちろん、フルトベングラーとトスカニーニははずせませんので、謹聴させていただいたわけであります。ところが、日ごろ、ロマンティックのデモーニッシュのファンタスティックのと騒いでいるいる割には、自分が、圧倒的にトスカニーニ派であることを認識させられたのでございます。音さえもっと何とかなっていれば、ベスト・オブ・ベストはトスカニーニといいたいくらいなんですな。
これは、どういうこっちゃ。なんで、おいらが、当然にフルベン派じゃないいんだべ。と思ったわけですが、つらつら、考えててみるに、どうやら、最初に刷り込まれた、レイボヴィッツのベートーヴェンの所為なんではと、思い至ります。
なんでも、レイボヴィッツのベートーヴェン、メトロノーム記号を馬鹿正直に守り、快速テンポでスットンだ演奏をしたという、その当時としては、さすが、シェーンベルクの愛弟子の前衛坊や!!という、とんでも盤だったらしい。
で、いつか、もういちど、聴いてみたいものだと、思っていたわけなのだ。
ということで、おそる、おそる、聴いてみる。なるほど、快速調。そのうえ、楽想の性格づけが、極めて明快で、すこぶる、面白い。さすが、前衛坊や、初心者の高校生だったわたしに、強烈な感染力を発揮したのも当然といいたいような、スグレモノの爆演でした。
これが、わたしの最初のベートーヴェン交響曲全集だった、なんて、なかなか、おもろい、体験をしたんだなぁ、と感慨深いものがあります。しみじみ。
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