ハーディング、新日本フィルのAll Brahms vol.3をききにサントリーホールへでかけた。
最終回だが、ピアノ協奏曲第1番と交響曲第1番という、ブラームスが苦心惨憺して作曲した、力瘤入りの2曲ということになる。
どちらかというと、わたしの苦手なタイプの曲だし、ハーディングとの相性もvol.1、vol.2ときいてきたかぎりでは、あまり、良いとはいえなかったので、期待が大きかったとはいえないのでありました。
ところが、なんと、ピアノ協奏曲第1番。出だしから気合の入った音が鳴り出して、すこぶるいい感じです。ピアノのポール・ルイスは、ブレンデルの弟子らしい。ヴィルトゥーソ風ではないけれど、端麗で純度の高い弾きぶりで、さすが、というところです。苦手な第1番を、楽しくきくことができました。
ポール・ルイス、アンコールでシューベルのアレグレットD915をしみじみきかせてくれました。
ハーディングは、ヴァイオリン・コンチェルトのときも思いましたが、すごく良いバックアップをする人です。実力者なんでしょう。
休憩後、これも、普段苦手の、交響曲第1番がつづきます。
ところが、あにはからんや、これが、なんと、いいいんですよ。
演奏スタイルは、今までと同じなんだと思います。でも、いつもは、私には重過ぎて、疲れてしまう曲なのに、すこぶる、見通しが良くて、音型が美しく耳に届いてきます。
ブラームスというと厚みのある和音の響きが土台にあって、そのなかで、生起する出来事みたいな曲だと思っていたんですが、ハーディングでは、いわば、線の音楽にきこえるのです。
ハーディングが紡ぎだす旋律線の音型が、なんというか、アーチ状に克明に奏でられると、線の音楽という感じが、ますます強くなるようです。
ブラームスがイギリス得意の多声音楽になったみたいで、すこぶる、不思議な感じですが、これは、これで、なんとも、魅力的にきこえました。なぜだろう。
ハーディング、チクルスの最後に、ピアノ協奏曲第1番と交響曲第1番をもってくるなんて、こういう、大逆転を狙ってたんでしょうか。まさかね。
年末の、マーラーやブッルクナーは、どういうことになるんでしょうか。面白くなってきました。
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