2014-06-19

池辺晋一郎作曲 鹿鳴館 @NNTT 中劇場

池辺晋一郎作曲の鹿鳴館をみに、NNTT中劇場へいく。
2010年初演の再演初日ということみたいだった。
そういえば、初演のとき、三島の鹿鳴館ということで、興味をそそられたものの、作曲が池辺晋一郎さんということで、踏み出せなかったような、おぼろな、記憶がある。

原作 三島由紀夫 
指揮 飯森範親 
演台本 鵜山 仁 
演出 鵜山 仁 
作曲 池辺晋一郎 
美術 島 次郎 
衣裳 前田文子 
照明 沢田祐二 
振付 上田 遙

合 唱  国立劇場合唱団 
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

影山悠敏伯爵 黒田 博 
同夫人 朝子 大倉由紀枝 
大徳寺侯爵夫人 季子 手嶋眞佐子
その娘 顕子 高橋薫子
清原永之輔 星野 淳 
その息子 久雄 鈴木 准 
 予定の経種廉彦が体調不良で降板と冒頭紹介があった
女中頭 草乃 山下牧子 
宮村陸軍大将夫人 則子 鵜木絵里 
【坂崎男爵夫人 定子】池田香織
【飛田天骨】早坂直家

というキャスト。影山伯爵と夫人朝子以外は、初演とはかなり、変化があったようだ。

作曲者自ら、オペラは演劇だといっているようで、確かに、オペラというより、劇伴音楽ぽい感じがしたが、そういう風になるのは、三島の文章の並外れて、強い磁力が、全体を、覆っているせいのほうが大きいのだろう。
ひさしぶりに、シニカルで、大向こうを唸らせる気満々の修辞学的科白をきいて、若い頃に読んだ三島を懐かしく思い出した。(そんな訳で、歌詞は日本語なのに、字幕があって、ありがたかったですよ)
原作を、リブレットに仕立てたのは、演出も担当した鵜山 仁という方のようで、なかなかの、力技で、感心したけれど、結局は、三島の言葉言葉言葉、という結果になっていたのは、いたしかたのないところだったろう。

影山伯爵 黒田 博、夫人 朝子の大倉由紀枝さんたちは 、初演にひきつづいての配役で、なかなか、安定感があったし、そのほかの歌い手も、過不足なしだったけれど、唯一、オペラチックにいけそうだった、大徳寺顕子の高橋薫子さんの声に、幾分伸びがたりなかったような気がチョット、かな。

で、フィナーレになると、池辺晋一郎さんの省エネのリヒャルト・シュトラウスみたいな劇伴もすこぶる、快調に盛り上がって、観劇の興趣を味あわせてくれた。 

飯森範親さんの指揮も上々、東フィルも東フィルぽい音をいかんなく発揮しておりました。

あと、演出はリブレット作者の鵜山 仁さんなので、意図通りなのだと思うんだが、舞台が、1幕から4幕までずっと暗い中で進行するので、変化がどうも、とぼしい感じになってしまう。

せめて、最終幕の舞踏会の場が、ヴェルディの仮面舞踏会のパクリよろしく、三島の対位法的な作劇法にあやかって、華やかな光の中での権力と愛の対比みたいな設えがあったら、いっそう面白かったんだが、まさか、予算の制約ではないですよね。

終演後、カーテンコールには、作曲者も登場、喝采をうけておりました。

大変、大変、楽しめましたです。これなら、マタ忘れた頃、見に行っても良いなぁ。(でも、演出は別のを希望)

そういえば、黛敏郎のドイツ語訳リブレットの金閣寺というのもあったが、一度見てみたいもんだ。

大満足で帰途につくも、小田急線が脱線事故で、運休中、ロマンスカーでビールを飲みつつ優雅に帰宅のはずが、渋谷、横浜廻りで帰る羽目に。到着が、12時過ぎになってしまった。
奥さん連れて行かなかったバチかしら。


P.S.
あとで、ネットをさまよっていたら、鹿鳴館について、せっかくの再演なのに、作曲家が修正の手を全然入れていないなんて、どういうことだ。
ヴァグナーでも、ヴェルディでも、実演のあとには、より良い作品めざして、まじめに、補正してるんだが。
修正する必要がない作品を、はじめから作曲できるなんて、池辺晋一郎は、よほどの、弩天才なんだろう。
みたいに、おっしゃっているサイトを発見。グゥワハハハ 。大爆笑です。
池辺さんかわいそう。カーテンコールなんかに、でてきて、大丈夫?
無責任な反応で、ごめん。

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