インバルのマーラーは、美しい。ある意味、心模様よりも、その響きの美しさが、まづ、耳にび込んでくる、そういうタイプの演奏みたいな気がする。
さて、交響曲第9番だが、第4楽章の終曲部の美しさは、ほんとうに、はんぱないものだった。ただ、ここぞという弱音のパッセージにくると、咳などする困りもんが現われて、ま、実演ならでは、ということで、脳内ノイズキャンセラーにたよるということもあったけれど。
それより、もっと感心できないのは自分自身の方で、いけないと思いながらも、マーラー9番には、バーンスタインのNHKホール、ほとんど、トラウマのような、演奏体験があるので、較べてしまうというか、なんというか、老いの繰り言状況に陥りがちなことで、今回も、それは、避けられない、というわけなのでした。でも、充分、満足はしたんですよ。
それに、1週間前、8番の、ある種、救済感に満ちた曲の体験から、すぐあとに9番を聴く、というのは、なんとなく、9番単独できくのとはちょっと違う風景を見たような気がするものでした。
今回のマーラー・チクルスでは、7月に10番の追加がある、ということで、必ずしも、マーラーは9番で、終わりということでない、物語がつづいているのかもしれません。
7月が楽しみです。
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